ゲームに課金
「マジで身体ばりばりで痛い。」
軽トラはなくなるし、事故後の身体の痛みで、かずもたけも社長の数年前型落ちセダン車で優雅に通勤していた。
こちらは新しい社用車の購入と事故車の廃車の手続きとその他諸々やらなきゃいけなくなった。
いやー、元気ないわね。
「今日はだいぶ楽になったけどな」
「社長の車ボロいくせにエアコンだけは超効く。それだけは嬉しい。」
寝ていけるしね。
「ずっと運転手付きの通勤がしたい。」
「こう、さっと、運転手がお辞儀しながらドア開けてくれるみたいな。」
100年早いわ、小童め。
「えー100年経ったら、121歳やん。」
「121歳になったらなんか空中に浮いていられるようになる気がする。」
あんたの描いてる老後ってどんなんよ?
「ええっと、亀仙人みたいな?」
亀仙人って300歳超えてるんだよね。
「えっマジで?」
「また変な豆知識を…」
「蜜柑ちゃんて、すっごいオタクだよね!」
うちは豪邸ではない。そう言ったけど「すごい御宅=豪邸」みたいなギャグは完全にスルーされた。
いやいや、中途半端なオタクです。
ただ、引きこもりゲーム廃人はやってたんだけどね。
「え?」
今考えても完全におかしかったとしか言いようが無い。
けど、まためっちゃ楽しいゲームとか合ったらハマっちゃうのかねぇ。
「何ネットゲームとか?」
うん。ネットゲーム。今でもSNSゲーとかはちょろちょろやってるけど寝食忘れるまで、みたいのはないかな。
今でもまだあるゲームだからたまに見ると、やっぱり時間と金を無駄にした、みたいな後悔に似た思いとゲーム内でできた友達とかと楽しかった思い出とごっちゃになって複雑だよ。
「へ~、今は普通のおばさんなのにねぇ。ネトゲ廃人かー。」
「よかったね、立ち直れて!」
「ゲームに金使うとか俺らあんま考えられないよなー。」
「ほんと、金捨ててる気がしてくるし。」
「蜜柑ちゃんにしたら俺らがキャバクラ通いするほうが金の無駄って思ってるんだよ。」
「どっちもどっちだけどなー。」
2人はぎゃははと笑った。
そしてゲームに課金とか考えられないと散々人を小馬鹿にした2人はこの後すぐにリリースされたAndroid版パズドラにガンガン課金する底なし沼に突っ込んでいくのである。