過去日記

他人のモテ武勇伝なんか楽しいもの?

2012年、12月。

忘年会シーズンが到来して、ついに、事務所内にかずたけの着替えが常設されてしまった。

職人さん同士は会社は違えど、大きな現場になると何十という会社の職人さんが集まる。

その何十から各自、ゲスト扱いでお誘いがある。

これも社会人としてのお付き合いだから、と公言し、彼ら2人は喜々としてあちらこちら忘年会に顔を出していた。

花見の時の奇行(?)が知れ渡っていてネタ代わりに呼ばれていることもあるが、2人とも対して気にしていなかった。

今日はどこの会社(の忘年会)に乱入すんの?

「今日は岸谷さんのところー。」

と、かずが答える。

岸谷か…。

「知ってる?めっちゃイケメンやよね、あの人。すげーモテるって!」

たけが羨望の眼差しで言った。

まぁ、結婚3回目だしね、あの人。

「うわ、そんなプライベートまで押さえてるんだ。」

「蜜柑ちゃん、もしかして岸谷さんファン?」

ちげーよ、1人目の嫁と友達なのよ。

「まじで。田舎って世界狭い。」

「もしかして3回も結婚て…」

全部岸谷の浮気だよ。見てりゃ解るじゃん。

「あーちょっと幻滅。」

「でもあの顔だったら仕方ないかもねぇー…」

で、2人目の嫁との離婚の原因になった浮気相手が中学の同級生なのよ。

「何、その世界の狭さ。」

そして、岸谷は、中学の同級生の姉と出来ちゃって、姉妹が岸谷取り合ってキャットファイトを…。

「…。」

「…。」

何静かになってんの。

「いや、言葉もないっていうか…。」

「蜜柑ちゃん、岸谷さん嫌ってそうだね。」

うん、はっきり言って好きじゃないね。

向こうも私の名前出したら嫌な顔すると思うよ、あはは。

「岸谷さんに誘惑されたの!?」

まさか。

キャットファイトの真っ最中に電話貰っただけよ、「助けて~」って。

だから「●ネばいいのに」ってガチャ切りしたのが最後かな?

言っとくけど、あの人常識通用しないからね。

岸谷、うちの近所に住んでたんだよね。

ある日ハムスター持ってきていうんだよね。

「子供と旅行行くから預かって」って。

うち、猫屋敷なのにさ。

なんで猫屋敷に持ってくるの?馬鹿じゃないの?って玄関先で罵倒したよね。

「他に預かってくれるとこなかったし、猫が狩ったんならしょうがないって諦めるからさ」

って言われて殴ろうかと思ったんだけど。

「…預かったの?」

まさか。

「思ってたよりクズかったあー、どうしよう行くの嫌になってきた。」

「俺は行ってクズエピソードを聞いてみたい。酔っ払ったら色々しゃべりそう。」

かずはニヤニヤしながら言った。

まあ、聞いてみれば?

そんな会話でその日は解散した。

 

翌週、かずたけに聞いてみたところ。

「最初は、モテ武勇伝あるんでしょ?聞かせて下さいよ、って言ったらすごい勢いで語ってたけどー。」

「たけがうっかり蜜柑ちゃんの名前を出した途端、能面見たいな顔になって何も言わなくなっちゃった。」

あー、口止めすんの忘れてた。

 

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