夏の恐怖体験
「怪談やろう!」
馬鹿の碌でもない発案が始まった。
「ここで蝋燭持ち寄って!」
消防署に通報します。
てか、あんたら、心霊スポット突撃で懲りてないね?
「別になんか出たわけじゃないしねぇ」
「動画くらい撮っとけばよかったよね」
「怪談だったら、ひとり3つくらい語れると思うんだ」
私面倒くさいからここでyoutubeの「13階段」とか流すわ。
「いやもうそれベタすぎっから」
「有名じゃないやつで自分が体験したとか…友達が体験したとか…」
はっきり言わせて貰おう。
自分の体験はないよ。霊感0だもん。
「蜜柑ちゃんなさそうだよね」
「俺らもないからこその心霊スポット突撃だったのに…」
唯一怖かったといえば…
小学生のときね。
黒羽アリっているじゃん?あれが天井にびっしり付いてたんだよね。
異常発生したんかなーって従兄弟とふたりでキンチョール吹きつけたんだよね。
子供って馬鹿だからさ、あはは。
「どうなったんすか?」
全部糸引いてざーっと降りてきちゃった。
「えぇ!?」
アシダカグモの子供だったんだよね、全部。
あれぞ蜘蛛の子を散らすってやつだわ。
従兄弟とふたりで悲鳴あげて逃げたよ。
「アシダカグモ…」
知らない?手のひらくらいにでかくなる蜘蛛。
「あぁー」
「うちのばあちゃんヤツアシって言ってたよ」
そうそううちのばーさんもヤツアシって言ってた。
「え、それが全部糸引いて降りてくるん?」
うん、百匹以上はいたんじゃないかなー、それがどわーっと自分めがけて。
「げぇぇぇぇ。」
それが私の真夏の恐怖体験でした。
別に今は蜘蛛怖くないし、アシダカグモ1匹くらい在駐して欲しいんだけどねぇ。害虫駆除に。