学級崩壊
うん。じゃあまた連絡してね。じゃあね。
電話を切ったとき19時を回っていた。
「えらい、長い電話やったね。友達?」
とたけがいう。
んーまあねー。
なんか色々溜まってるみたいね、ストレスとかストレスとかストレスとか。
「そうなんだー。ゆみこは復活して大学行きだしたのにねー」
とかずがいう。
それが一番びっくりだよ。
「あのおばさんに言われっぱなしで終われないって言ってた」
あの糞ガキ。
「どういうストレス?旦那の愚痴とか?職場の愚痴とか?」
彼女、小学校教諭なんだよね。
「ガッコの先生」
学級崩壊とモンペでもうリタイア寸前だね。
「学級崩壊かー」
「俺ら中学が終わってたよね」
「俺ら以外のクラスが」
「俺らのクラスは俺らが崩壊させなかった、えっへん」
「そうだよなーみんな真剣に授業聞いてた」
どんな裏が?
「一個上の先輩が怖かったんだよ」
「お前ら上納金よこせとか言われて」
「5000円とかだったっけな?毎月持って来いって」
「俺らだけじゃなくて別のクラスもやられてたんだけどさ」
「◯◯町に△△病院ってあるじゃん。」
うん。そこそこ大きい総合病院だよね。
「そこの息子が同じクラスだったの」
「その息子は中学受験失敗して地元中に来てたんだけど、医者にならなくては行けないという超プレッシャーの中勉強してた。」
「最初はあんま仲良くなかったよな」
「仲良くなかった。別の世界の人で」
「でも1回ゲームの話かなんかで盛り上がったんだ」
「で、△△くんがあのゲームは家にあるからやりに来ていいよとか言ってくれるようになって」
「そのうち要らないゲームをくれるようになったの」
「△△くんが『成績が落ちたらゲーム買ってもらえない』って言うから」
「学級崩壊は死ぬ気で防いだよー」
「先輩に毟られる上納金は△△くんの財力でカバーするしかなかったし。貰ったゲーム売ってた。たまにゲームそのまま。」
「もう△△くんを勉強させるために生きてたよね、俺ら」
「うちのクラスだけ他クラスと違って成績よかったんだぜー」
彼らは高らかに笑った。
で、△△くんとやらは今…?
「今はちゃんと△△くんは医大生だよ。」
「正月には会うよ、毎年」
「△△くんちの豪華料理すごいし、お父さんお年玉くれるし」
なんであんたらはその情熱を自分の勉強に生かさなかったの…。
「△△くんが病院継いで病院立て直すとかになったら仕事回してもらえるかも!」