来年の目標
年末も差し迫った2012年12月下旬、もう恐らくこれが年内に会う最後じゃないか、というタイミングでかずとたけが事務所を訪れた。
「これ、請求書と領収書」
手渡された封筒は結構の厚みがあった。
はい、ご苦労さまでした。
今年はこれで終わりかねー。
「多分?」
じゃあ、来年もまたよろしくっ!
「え、何?いきなり何シメに入ってるの」
だってうち、もう今日で今年の業務終わりだしー。
「明日までやれよ!うち明日仕事なのに!」
「すげー怖い夢見たんだ…」
突然たけが言い出した。
「ほう。どんな?」
かずがスマホから目を離さずに軽い調子で聞く。
「草ぼーぼーの所に木でできたボロい鶏小屋があって。木があちこち割れてるから中覗いたら鶏が何匹か、木に止まってるのが見えて。そんで、よく見たら鶏、頭がないんだよ。首からなんかミミズみたいのがウジャウジャ出て動いてて、俺、ひっ!てなって逃げようとしたんだけど、鶏から黒い汁が飛んできて口に入って。ぎゃー!ってなってペッペッペッペッって吐き出してたら目が覚めた。枕周りに唾吐きまくってた…。」
私とかずは現実に唾吐きまくってた、の下りで大笑いした。
汚いなー。枕カバーちゃんと洗いなよ?
「すげー怖くね?実際見たらちびるよ?」
おねしょまでしたの?布団カバーも洗いなよ?
「してねーし!」
「おまえ、大丈夫か?ココ」
かずが頭を指差しながら聞く。
「大丈夫だよ!マジ怖くね?」
「いや全然」
笑えるけど怖くないなー。悪いけど。
私が最近怖かった夢っていうと、体脂肪率が40.0を超えた夢かなー。
「夢じゃないじゃん」
「ちゃんと現実みたほうがいいよ」
まだ40超えてないってば!
「じゃあ予知夢だな」
くそうくそうくそう。言い返せない。
「なんで怖いの解ってくんないかな?妹も『きたなーい』って感想しか言わなかったし…」
そりゃーあんたが映画監督かなんかになって同等の映像作るくらいしか…。
あとは絵にするとか。
「そんなクリエイティブな才能はない」
「人から言われてムカつくけど、その通り」
言葉で話したとこで表現力とボキャブラリーの貧困さで殆ど伝わってないんだよねぇー。
来年の目標にしてみたら?
表現力を磨く、語彙力を磨く!
どうよ?
「ボクの来年の目標は車を買うことでーす」